犬と縄張り争いとストリートギャングとサッカー

タイでは大抵どこでも道端に野良犬がたくさんいる。犬は昼間は道路に寝っ転がって眠っていることが多いのだが、夜になると活発に動き出す。夜になるとオス犬たちは徒党を組み、自分たちの縄張りをパトロールする。他のグループの犬がいると吠えて威嚇する。追いかけて噛み付くこともある。本気で噛むわけではないようで、噛まれた犬は痛そうな鳴き声をあげるが、傷つくことは殆ど無い。遠吠えを上げてグループの結束を確かめ、他のグループを威嚇する。こういった犬の行動は若者のストリートギャングとほとんど同じだ。


しかし、タイの野良犬は道端の屋台の残り飯をたくさん戴いているようで、縄張りをキープしなくても餓死することはなさそうだ。太っている犬も多い。ではなぜ、縄張り争いをするのか?


生態学者なら性的競争をまず挙げるだろうけど、おいらの考えははこうだ。第一に犬にとって縄張り争いは一種のゲームなのだ。人間の社会の片隅で生きていて食べるものには大して不自由しない。ただ、犬もパンのみに生きるにあらず。のようで、退屈し、気晴らしを必要とする。犬の縄張り争いは人間のサッカーと同じようなもので、ルールの定まった一種のゲームなのだ。昼間に人間にいじめられたり、食べ物をねだったりしてたまったストレスを夜に犬同士で縄張り争いゲームをして気晴らしするのだ。